この度、国産のメタバースプラットフォーム「Cluster」にてクリエイター向けのマンションワールド「クリエイターズ・マンション」を公開しました。今回はこのマンションワールド制作に対する想いや今後の展望について少しお話したいと思います。
バーチャルデスクトップアプリとの出会い

MetaQuest2のアプリにバーチャルデスクトップというものがあります。これはVR内のデスクトップ画面に現実のデスクトップ画面を投影しそのまま作業ができるというものです。
画面を自在に大きくしたり、複数画面を出したりすることができます。いつもの部屋とは違うバーチャルな部屋の中で仕事をする体験はかなり印象的でした。
そして、一人で入っても成立する機能というのは、メタバースに生活を生み出す中心的な役割を担うものとなるのではないかと感じました。
そしてこのアプリを使っていてふと思い描いたのは、”この部屋のドアの外に他の住人も住んでいたとしたらどんな体験になるだろうか?”ということでした。これがメタバース内にマンションを作る構想の出発点となりました。
自分だけの拠点を持つことがメタバースの価値を変える
メタバースプラットフォームで遊んでいて思うのは、イベントに参加したり、ワールドを巡ったり、他のユーザーさんとおしゃべりするなどして疲れたときに戻る場所が、メタバース内に存在しないということです。なので、やることが終わったら現実に戻る。
でももしメタバース内に自分だけのプライベートな部屋があれば一旦そこに戻る人も多いのではないかと思います。
つまり一人で過ごす場所があるということは、ユーザーがメタバースに滞在する時間が増えるということです。これはプラットフォームの価値を高めるものでしょうし、ユーザーとしても”住む喜び”、”出かける喜び”が生まれることになる。
つまりメタバース内に自宅ができることで、ユーザーにとってのメタバースの価値は増してくるのではないかと思います。
Cluster内にマンションワールドを作る
2022年4月からClusterで画面共有機能を利用できるようになったことを知ります。これはCluster内で生活拠点を設ける上でとても意味のある機能と認識しました。
そこでClusterのプラットフォーム内で、バーチャルデスクトップのような部屋と、さらに部屋の外の世界も作ろうと決意しました。
Clusterの場合、住居を作るにあたって、
- 同一ワールド内に部屋を作る
- 別ワールドに部屋を作る
このふたつの方法があります。
体験としては同一ワールド内に部屋を作った方がシームレスで雰囲気が出ると思いましたが、この場合、部屋の中の話声が漏れたり、部屋の管理が大変になるという問題が予見されました。
そこで別ワールドに部屋を作る方法を選択することにしました。部屋は大枠の形だけを用意して、その中は自由にデザインしてもらう。
戸建てでなくマンションを選んだのは、その方が世界観を保ちやすいだろうという考えからでした。
最初にロビーとなるマンションワールドと自身の部屋を作成し、そこから入居者募集のアナウンスをTiwtterで開始しました。
最初の居住者
このワールドの居住者を募集したときに一番最初に入居を申し出てくれたのはフレンドのワールドクリエイターの方でした。
この方が最初に制作されたお部屋のクオリティが秀逸でした。

このお部屋のワールドはClusterのデイリーに掲載されるなどすぐに話題となりました。それと合わせてマンションの認知も進みます。
最初の段階ではマンションを作るというところまでは決めていましたが、そのマンションのコンセプトは決まっていなかった。最初につけたワールド名は「Community Apartment」でした。
ですがこの方と話してゆく中で、そもそもUnityを使って自分の部屋を制作できる人は限られるため、少なくとも1号棟はクリエイター向けに絞った方がよいのではないかということになりました。
そこでそれならばワールド名も「Creator’s Mansion(クリエイターズ・マンション)」にしようということになったのです。
居住希望者が続々と
それからこのマンションワールドに興味をもってくれたクリエイターたちが続々入居を申し出てくれました。




腕利きのクリエイターさんが参加してくれたことでマンションにクオリティの高いお部屋が増えてゆきます。
自身でコーディネートした部屋を自身のアカウント上にアップロードすることができて、それがマンションの一室になるというしくみは、クリエイターさんにはとても好評のようです。
そして与えられた部屋の形と広さの中で、各クリエイターさんがどんなコーディネートをするかというのも住人の楽しみのひとつとなっているようです。
想像以上に生活感を感じる場に
部屋を出るとマンション空間があって、そこを通って他の人のお部屋にいくという体験が想像以上に生活感を演出できているようです。
住人もワープ機能でなくちゃんとマンションを通過してくれる。
そして共用スペースとしてのマンションホールも、住人やこの構想に賛同してくれた方々からのご意見で変わってゆきます。
お部屋とは別に複数のクリエイターが利用できる場所として、メタバース内ノマドカフェと打ち合わせができる会議室を用意しました。


現在住人はもちろん、住人以外のクリエイターさんも顔を出してくれる場となりつつあります。
今後の展望
入居者が埋まった現在も新たに入居したいという方がいらっしゃいますので、現在2号棟の制作を検討中です。
Clusterのワールドの入室制限から1つのマンションの部屋数を増やすのは住人の利便性を考えてもあまりよろしくないだろうという判断です。
これからはおそらく棟が増えてゆく、それらを繋ぐポータルワールド(クリエイターズ・タウン)が出来てくるだろうと思います。マンションの外の世界、これがどういった機能をもった空間になるのかはこれから考えてゆきたいと思います。
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