非没入型のメタバースはWeb3D、仮想空間サービス、オンラインゲームなど、2000年前後からすでに存在していて何も目新しいものではありません。
3DCG技術の進化はあれどこれはどちらかというと量的な変化です。
一方でメタバースについて比較的最近出てきた質的な変化として没入型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)があります。HMDの登場によって仮想空間との接触の仕方に変化があり、これに伴ってアプリケーション側にも変化が見られます。
2000年代からこういったものを見てきている人にとって今この時期にメタバースが着目されるというと、どうしてもこの没入型のデバイスを意識せざるをえません。
しかしながら、メタバースと没入型デバイスの相性が果たして本当によいのかどうかという点はよく考えてみる必要があります。
私自身が使ってみた感想としてはVRは、メタバース内での動きが激しくないコンテンツや、顔見知りでの利用が向いていると思っています。
まずVRというのは移動が不自由です。操作のしづらさもありますが、それ以上に問題となるのがVR酔い。
またVRは現状テキストチャットに向いているとは言えないので、匿名の集まりで声を出したくない場合には使いづらいデバイスになると思います。
そういった意味で没入型のメタバースでは、現状、どちらかというと実名制のコミュニティの方が適しているのではないかと考えています。
次に、メタバースに現実のような生活風景ができあがるかについて考えてみたいと思いますが、これはなかなか難しいだろうと思います。メタバース内に生活必需品の消費サイクル(食料などの生活物資の調達)が持ち込まれることはおそらくないからです。
メタバース内での生活を形成するものはもっと別のものになるでしょう。
具体的には仕事や教育ですね。仕事や教育をメタバース内でやる必要が出てくればこれはメタバース内に生活サイクルを生み出す原動力になるのではないかと思います。
そうすれば、仕事をするためのオフィスや自宅空間に利用価値が出てきて、さらにその外へ出るという生活が発生することになる。
VRヘッドセットの進化によって今後メタバース内でできることはもっと広がってくると思いますから、なかなか未来をイメージすることは難しいところですが、現状で感じてみたことを書いてみました。
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